2018.01.21

災害支援にドローンを!今後の導入に期待

事例
災害用ドローン

我々の住む日本は、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火など、様々な自然災害が起こりうる国であり、常に対策を考えておく必要があります。そんな自然災害大国の日本において、ドローンを活用した様々な災害支援技術が注目されてきております。

自然災害におけるドローンの活用

日本列島は地勢上、地震や火山噴火が起こりやすく、最近では気候変動に伴う大規模な災害も相次いで発生しており、近い将来、東日本大震災のような巨大地震が発生する可能性は極めて高いと言われています。
したがって、災害対策に力を入れていくことは今後の大きな課題となっていきます。そこで注目を集めているのがドローンです。ドローンは無人航空機と呼ばれ、その機動力と情報収集能力を活かし、空からの監視・観測、空からの警備、空からの物流など多くの分野において活躍されると予測されています。そんなドローンを災害時においても活用し、災害状況の確認や、行方不明者の探索、物資の搬送などを効率よく行おうとする動きがでてきています。
大規模災害発生時には、避難指示や救助など多岐にわたる活動が必要不可欠になります。そこで、例えば拡声器を搭載しての避難指示、救命胴衣の投げ入れ用途、危険地域での捜索活動、交通網が遮断された地域への食糧・水の運搬などにドローンを活用することで、より迅速な人命救助や支援活動が可能になり、災害時において助けられる命が増えるでしょう。

災害現場でのドローン活用事例と動き

実例では、記憶に新しいですが2016年4月に起きた熊本地震の際に、NTT西日本は通信ケーブルが通る阿蘇大橋が崩壊したため、電信柱の倒壊状況の確認など被害状況の把握にドローンを用いられました。その時点ではドローンを使っての電柱調査のみに終わりましたが、今後は復旧作業にも力を入れ、ドローンを活用させていきたいとのことでした。
また、今年の9月に千葉県君津市が市内にドローン飛行場を設立した会社と「災害時等における無人航空機による協力に関する協定」を締結しました。協定内容としては、災害が発生した場合、または発生するおそれがある場合において君津市からの災害対応等に必要な映像・画像等の情報収集及び提供についての協力を要請し、連携対処するという協定を結びました。こういった公共自治体とドローン事業が協力して災害支援に携わっていくことも年々増え続けており、さらなるドローン事業と自治体の協定が期待されています。
今後は、人がなかなか入れないような状況下にあっても、ドローンを使用しての支援活動、復旧活動が行われるようになっていくでしょう。

瓦礫

ドローンが抱える課題

災害時のドローン活用が実用化されれば、支援活動や復旧活動に非常に役に立つのは間違いないと考えられますが、現時点ではドローンはまだまだ発展途上にあり、いくつもの課題があります。
最も大きな課題は、フライト時間の短さにあります。ほとんどの機種はリチウムポリマーのバッテリーを動力源として搭載されており、連続飛行可能時間はおおむね30分程度です。災害対策のために活用するとなると、搭載物の重量が増え、飛行時間はさらに短くなり、何回もバッテリー交換を行わなければなりません。 長時間飛行には軽量化、もしくは有線での給電という方法や、あるいは、バッテリーを使わずガソリンや水素など動力部分を根本から変えるというアイデアも出ていますが、まだ実用化には至っていません。

バッテリー交換のアイデア

そんな中、この問題の対策を考えて研究を行っている大阪大学の学生チームはあえてバッテリーで飛行するマルチコプターに着目し、バッテリーを空中で交換するというユニークなアイデアを実現する技術を追求しています。バッテリーを交換する方法ですが、飛行中のドローンの上に補給用ドローンが並走するように飛行させる(現時点では接近するところまでは手動でコントロールする)と、両機が接近を検知し、その間にケーブルを渡せるように自動で結合し、そのケーブルを介してバッテリーを自動で装填したあと、離脱するという供給方法になっています。バッテリー交換の時間は約34秒という短さも大きなポイントになっており、ケーブルを使うことで確実に安全で短時間でのバッテリー交換を可能にしています。

今後の発展に期待

上述のような技術的課題をクリアしようと、多くの団体や企業が力を注いでいます。フライト時間が長くなれば、さらに色々な活用方法が生まれてくると考えられるので、技術革新が待たれるところです。ドローンによる災害支援の今後の活躍に期待したいしましょう。