2018.03.26

講習管理団体が認定するドローンの認定資格の種類を比べてみた

基礎知識
ドローン講習管理団体が認定する資格とは?

全国的にドローンスクールが増加してきたことを背景に、2017年6月より国土交通省航空局のホームページにドローンの講習団体及び講習団体を管理する団体の掲載が開始されました。2018年2月時点での国土交通省航空局のホームページに掲載されている講習団体は146団体、講習団体を管理する団体は15団体となっています。掲載当初の2017年6月の段階では講習団体は43団体、講習団体を管理する団体は4団体であり、この7ヶ月あまりで、講習団体及び講習団体を管理する団体ともに3倍以上に増えており、社会的ニーズの高さが伺えます。

今回の記事では講習団体を管理する団体として、管理している講習団体が多い上位3団体である、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)、一般社団法人ドローン操縦士協会(以下、DPA)、DJI JAPAN 株式会社(以下、DJI JAPAN)が認定する資格について見ていきます。

JUIDAの認定資格

2018年2月時点で国土交通省航空局のホームページに掲載されているJUIDAが管理する講習団体は37団体あります。JUIDAが提供するカリキュラムを各団体(法人、専門学校等)がJUIDA認定スクールという形で提供しています。JUIDA認定スクールは、無人航空機産業の健全な発展のために、無人航空機運航上の安全に関わる知識と、高い操縦技能を有する人材の養成を目的として、2015年10月よりスタートしています。

JUIDA 操縦技能証明証

JUIDA認定スクールにおいてJUIDAが定める科目を終了した方には、所定の手続き後、「操縦技能証明証」を交付しています。JUIDAでは「操縦技能証明証」を取得された方を、無人航空機を安全に飛行させるための知識と操縦技能を有する者として『JUIDA無人航空機操縦士』と称しています。

JUIDA安全運航管理者証明証

JUIDAでは「操縦技能証明証」を取得し、かつ飛行業務の経験を有する方を対象として、無人航空機の安全運航管理に関する基本知識とリスクアセスメントを習得してもらい、その修了者には、同様にJUIDAが定める申請手続きを行ってもらうことにより、「安全運航管理者証明証」を交付しています。「安全運航管理者証明証」を取得された方については、無人航空機の運航に関わる十分な安全と法律の知識を有し、飛行業務の安全を管理する者として『JUIDA安全運航管理者』と称しています。

JUIDA認定スクールとは

JUIDA認定スクールのポイントは「安全運航管理者証明証」です。操縦技能のみならず、来るべき完全自律型のドローン社会を見据えて、無人航空機の運航に関わる十分な安全と法律の知識を有し、飛行業務の安全を管理するために設けられた証明証です。スクール毎に受講料等が異なり、スクールを運営する母体の団体の事業内容が反映されています。例えば、航空測量等の空間情報事業等を提供する国際航業株式会社が運営するドローンスクールでは、ドローンの運航方法に加えて、3次元データの計測方法を教習する実務者向けのカリキュラムを提供しています。また、以下のドローンアカデミーは全国にドローンスクールを展開しており、実際に現場でも活躍するドローンパイロットから実用的な技術を学ぶことができます。

DPAの認定資格

2018年2月時点で国土交通省航空局のホームページに掲載されているDPAが管理する講習団体は24団体あります。企業や個人会員が、最先端で安全なドローン活用を実現するため、ドローン操縦技術に関する認定資格を制度化し、2016年からスタートしています。

ドローン操縦士

DPAの認定資格としては操縦士資格「ドローン操縦士」があります。「ドローン操縦士」は回転翼航空機の飛行に必要な基礎知識と操縦する基本技術を認定しており、飛行レベルにより3等級の資格があります。

ドローン操縦士回転翼3級

現在取得できる操縦士資格は『ドローン操縦士回転翼3級』です。『ドローン操縦士 回転翼3級』は目視内飛行を手動で行い、その利活用の具体例は農薬散布・映像コンテンツのための空撮・橋梁、送電線等のインフラ点検です。2018年2月現在は3級のみですが、今後は2級(2018年春~)や1級(制度設計中)が取得できるようになる予定です。

ドローン操縦士 回転翼3級を取得できるドローンスクール

『ドローン操縦士 回転翼3級』はドローンスクールジャパンをはじめとするドローンスクールでの取得が可能です。ドローンスクールジャパンでは「フライトコース」と「ビジネスコース」の二種類のカリキュラムを提供しており、「ビジネスコース」修了者に対してのみが『ドローン操縦士 回転翼3級』の資格取得可能となっています。なお、ドローンスクールジャパンが提供する「フライトコース」と「ビジネスコース」は各校で提供する内容、受講料金は同じになっています。



DJI JAPANの認定資格

2018年2月時点で国土交通省航空局のホームページに掲載されているDJI JAPANが管理する講習団体は20団体あり、「DJI CAMP」というプログラム名で提供されています。「DJI CAMP」は、DJIのマルチコプターを、正しくより安全に使用できる操縦者を認定する企業向けプログラムであり、DJIのマルチコプターの正しい知識、正しい操縦方法、そして飛行モラルを習得しているかを評価しています。「DJI CAMP」では3つのレベルを提供しており、以下に記載する『DJIスペシャリスト』、『DJIインストラクター』、『DJIマスター』の3つがあります。

DJIスペシャリスト

10時間以上の飛行操縦経験がある操縦者で、DJI製品のユーザーマニュアルを事前に熟読し、実際のマルチコプター飛行業務に従事できる者とされています。

DJIインストラクター

50時間以上の飛行操縦経験があり、過去に国土交通省に無人航空機の飛行に関する許可・承認に係る申請を経験した操縦者で、DJIスペシャリストの教育、監督、技能資格の認定を行い、同時に認定責任を負う者とされています。

DJIマスター

DJI JAPANより直接任命された100時間以上の飛行操縦経験者で、DJIインストラクターの教育、監督、技能資格の認定を行い、同時に認定責任を負うとともに、DJI CAMPの運営に参画する者とされています。

3つのレベルは認定企業が開催するDJI CAMPに参加し、所定の要件を満たすと取得できます。基本的に各企業で提供されるプログラムの内容は同じです。
AmazonでDJI公認の公式テキストが売られているので、気になった方は一度確認してみるとよいでしょう。

まとめ

ここまで、主だったドローン講習管理団体の資格について見てきました。2018年2月現在において日本国内においてはドローンを飛行させるのに資格は必須要件ではありませんが、ドローンを利活用してビジネスに取り組んでみたいと考えている方にとって、資格を取得する過程での座学や実技講習は非常に役立つものになります。また資格を保持していることによって、ドローンについての知識があることや、技能があることの証明にもなるため、ドローンの業務で仕事を得ることや、自社内でドローンビジネスをはじめるにあたっての説得材料になります。最近では日本全国に様々なドローンスクールが設立されてきているので、ご自身が考えているドローンでの業務の目的や用途に照らし合わせて、認定資格という視点からドローンスクール選びをしてみてはいかがでしょうか。