2018.03.26

JUIDA事務局長が語る2018年ドローン業界の展望

特集
JUIDAオフィス 熊田知之様

今回は、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)の 理事・事務局長を務める熊田知之様に2018年のドローン業界の展望を伺いました。JUIDAは2014年7月に設立され、日本のドローン産業振興に一翼を担っており。その中で熊田様は設立当初より、理事・事務局長としてご活躍されております。今後のドローン業界を考える上で大変貴重なお話を伺えましたので是非ご一読ください。

JUIDA 理事・事務局長 熊田知之様 インタビュー

Q. JUIDA設立の経緯を教えていただけますか?

JUIDAは、2014年7月に設立されました。当時、日本でドローンはほとんど知られておりませんでした。しかし、海外では、Amazonが無人航空機(以下ドローンと記載)を使用したデリバリー構想を、グーグルはドローンを使ってのWi-Fi中継構想を発表するなど、壮大なプロジェクトが相次いで始まっており、中国でも、DJIが急成長を始めた時期でした。翻って日本の情勢を見るとドローンに関しては完全に出遅れていました。これではいけない、「空の産業革命を拓く」とも言われるドローン産業にわが国も世界と肩を並べて盛り上げいきたい、そのためには、日本のドローン産業を推進する中立的な業界団体が必要と考え、東京大学教授の鈴木真二先生が理事長を務めるJUIDAが誕生しました。

Q. JUIDAとはどんな組織か教えていただけますか?

日本におけるドローン産業をいかに発展させるかがJUIDAにとって、最大のミッションであると考えています。そのため、JUIDAではドローンメーカーやドローンの業務に必要なアプリケーションを開発している会社、あるいは商社、保険会社などのサービス業、様々な業種の企業に法人会員として参加いただいています。また上記のような法人だけでなく、個人の方にも個人会員として参加いただけるような仕組みとしており、どなたでもドローンに関われる団体となっています。さらに、日本の企業に囚われず海外の企業も法人会員として受け入れており、日本だけではなく海外も含めて様々な角度からドローンの産業振興に向けて議論できるように活動の幅を広げています。
また、JUIDAではドローンとは落ちるものという前提で考えており、JUIDAの活動テーマは一貫して「安全」です。ドローンは利用次第では大変便利な機械ですが、便利さだけを追求すると人や社会に対して危害をくわえる存在になりかねません。ドローンの健全な発展を考えて「利便性」と「安全」のバランス取っていくことが重要だと思っています。

Q. JUIDAの活動内容を教えていただけますか?

私たちは、新しい産業が発展していくためには何よりも健全(安全)な発展が必須と考え、最初に着手した活動はドローンの安全ガイドラインの作成です。2015年1月より産学官の有識者にお集まりいただき議論を重ね、民間におけるわが国として初めての安全指針を策定・発表しました。また、同年4月に首相官邸にドローンが落下するという事件が発生したことによって、世間一般にドローンの危険性への認知・関心が高まりました。この事件を契機に、ドローンを安全に飛行させるための法整備が必要だろうという機運が高まり、JUIDAで先行していたドローンの安全ガイドライン策定の過程で議論していた内容を盛り込んだ改正航空法が2015年12月に施行されました。改正航空法では、ドローンの飛行禁止空域や禁止飛行方法が明確になりました。

次に着手したのは、改正航空法をはじめとしたドローンを安全に飛行させる際のルールの浸透です。そのためにはドローンを安全に飛ばすための法律、技術等の知識と技能を学ぶための人材教育が必要と考え、2015年秋にJUIDA認定スクール制度をはじめました。この制度は、JUIDAの定める基準を満たすスクールをJUIDAが認定して、JUIDAが提供するカリキュラム・テキストにより各認定スクールで講義を行ってもらい、修了者にはJUIDAから認定証を交付するというものです。JUIDA認定スクールでは「JUIDA無人航空機操縦士」と「JUIDA安全運航管理者」の2種類の講義を行っています。「JUIDA無人航空機操縦士」コースは座学および実技を規定時間以上受講して、試験に合格した方に対して「JUIDA無人航空機操縦士」の証明証を交付しています。「JUIDA安全運航管理者」コースは「JUIDA無人航空機操縦士」証明証を持っている方が対象で、ドローンを活用した飛行業務の安全運航を管理する人材を育成するコースです。

JUIDA認定書

「JUIDA安全運航管理者」は来るべきパイロットを介しない完全自律型のドローンの運用がはじまった場合も見据えて設計したものです。設立当初は8校から始めましたが、2018年1月現在は130校のスクールが全国に存在しています。また操縦技能証明証の取得者も3,500名を超え、JUIDA認定スクールの講師数は650名にまで成長しました。ドローン業界の健全な発展を目的として、安全に飛ばすための知識や技能を持っている人をできるだけたくさん増やしたい、とにかくドローンによる事故をなくしたいという想いで始めた事業ですが、関係者からの温かい支援や理解と社会的なニーズに支えられ急速な成長を遂げています。

その他にも、世間一般にもっとドローンを知ってもらおう、ドローン関連企業を支援しようと、JUIDAでは2016年より「Japan Drone」というドローン単独の展示会を開催しています。また日本のドローン産業の急成長を牽引するJUIDAの活動は、世界中からも注目されており、2016年にパリに本部を置く無人航空機の民生利用促進に関する世界最大の非営利組織「UVS International」と国際連携に関する覚書を締結したのを皮切りに、韓国と中国のドローンの業界団体とも同様の趣旨の覚書を締結しました。今後、台湾、タイのドローンの業界団体とも覚書を締結する予定です。また、国際標準化活動(ISO)にも取り組んでおり、JUIDA認定スクールを通じて提供している安全教育の国際標準化を目指しています。

Q.2018年のJUIDAの展望をお聞かせください。

夜間飛行や目視外飛行など国土交通大臣の許可承認が必要な飛行方法について、しっかりトレーニングできるカリキュラムをJUIDA認定スクールで提供できるようにしていきたいと考えています。また、JUIDA認定スクールで認定を受けた方たちに対してのお仕事を提供できる仕組みや仕事そのものの創出が必要だと考えています。ドローンパイロットが子供たちの憧れるような職業の一つとして成立させたいと考えていて、個人的な言葉でいうと「スター」と呼ばれるような人材を育てていきたいと思っています。

JUIDAとしては日本のドローン産業全体の振興の想いを胸に、日々市場を大きくしていくことが課せられた使命だと思っています。また、今後発展していくドローンのすばらしさを伝えていくことも我々の使命です。少子高齢化の日本で仕事を奪い合っても仕方ないのであれば、海外のドローン事情や法律やルールを学び、仕事を海外から引っ張ってくることも大事ですし、逆に海外の方に日本のドローン事情や法律やルールを伝えていくことも重要になります。JUIDAの目的は日本のドローン産業振興と健全な発展ですが、既存の枠組みにとらわれずに、より大きな視点で2018年も活動していきたいと考えています。

JUIDA理事・事務局長 熊田知之様

インタビューを終えて

熊田事務局長のお話を聞き、ドローンの発展を心から願い、未来のために真剣に取り組む姿勢に感銘を受けました。そんな熊田事務局長のバイタリティとはなんなのか?とお伺いすると、「新しい分野の伸び方は想像以上、しかし一寸先はわからない、波があるときは波が運んで行ってくれる。そういう時はうまくいく。波に乗ったら打つ手があるし、なんでもやるべし。ただいつまでも波が続くかはわからないから脇をしめて謙虚でいることが大切。我々の使命は、成功させていくためにどういった効果的な応援ができるかを常に考えて、外側から支援していくこと。まだまだ、成し遂げたいことがあるため、楽しく活動することが源になっている」と仰っていました。
ワクワクすること、それがドローンを通して熊田事務局長が見つけたワークライフなのかも知れないですね。

インタビュー日時:2018年1月19日(金)
撮影場所:JUIDAオフィス(東京都文京区本郷5-33-10 いちご本郷ビル4F)