2022.10.24

【ドローンの国家資格がスタート】2022年12月5日から開始 試験は2023年2月予定

法規制

2022年12月5日にドローンの免許制が開始となり、「新たに国家資格を取る意味があるの?」「民間資格はどうなる?」と思っている人は多いでしょう。

この記事では、ドローンが免許制になると何が変わるのかを徹底解説!さらには、民間資格を持っていることで得られるメリットや、国家資格の流れについても説明していきます。

ドローン免許国家試験はいつ?

新制度の飛行の実現に向けたスケジュールについては以下のようになっています。

2022年9月:ライセンス講習機関の登録開始・教則や講習機関の規定を公布

2022年12月5日:新制度執行・第一種の機体検査開始

2022年2月:第一回学科・実地試験開始

2023年3月:第一種型式認証・機体認証書交付、一等・二等操縦ライセンス発行

ドローン免許制の全体像

現在、日本では「空の産業革命に向けたロードマップ」というものを発表しており、それに沿って環境整備、技術開発や社会実装を行っています。その中で、2023年からは「離島や山間部においてレベル4飛行の実現」というミッションがあります。

ドローン飛行におけるレベル4とは

ドローンの飛行形態については4つのレベル分けがなされています。
 レベル1:目視内での手動操縦飛行
 レベル2:目視内での自動/自立飛行
 レベル3:無人地帯における(補助者なし)目視外飛行
 レベル4:有人地帯における(補助者なし)目視外飛行

ドローンが免許制(国家資格)になると変わること

ドローンが免許制になると変わることは大きく3つです。

  1. レベル4(有人地帯での目視外飛行)が可能になる
  2. 100g以上の機体を対象に機体登録制が義務化
  3. 新たに2種類のライセンスが誕生する

では以下で詳しく見ていきましょう。

有人地帯での目視外飛行が可能になる(レベル4の実施)

現在の制度ではドローンが飛行できる条件はレベル1~3までとなっており、有人の場所での目視外飛行を禁止しています。しかし、2022年12月5日に施行される免許制度においては、このレベル4での飛行が実現するのです。

レベル4の飛行で活躍が期待される仕事の例としては、以下のようなものがあげられます。
• 人口密集地域での荷物配送
• 緊急医療での物資の搬送(医療器材・輸血など)
• ドローンによる警備 など
上記のようなレベル4領域を利用したビジネスを拡大することで、労働力アップの役割を担うことが期待されています。

このことは、経済産業省が発表した「空の産業革命に向けたロードマップ2022」にも記されています。

100g以上の機体を対象に機体登録制が義務化

機体登録制とは

機体登録制とは、ドローンがだれの所有物かわかるように番号を割り当てる制度のことです。自動車で例えるとナンバープレートのようなものです。この機体登録制は、主に事故や犯罪行為への対策が目的となります。

ドローンの機体登録は義務

ドローン機体登録の義務化は2022年6月20日に導入されました。

詳細は以下のとおりです。

  • 氏名、住所、機体情報を国土交通省に申請
  • 国土交通省から通知された「登録番号」を機体に表示させる
  • 100g以上の機体はすべて対象
  • 違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金

機体をお持ちで登録がまだの方はこちら

無人航空機登録ポータルサイト

【DIPS】ドローン登録システム

機体登録していないドローンを飛行させた場合は下記の航空法に違反する可能性があります。

航空法 第144条(無表示等の罪)
航空機の使用者が、第57条の規定による表示をせず、又は虚偽の表示をして、航空機を航空の用に供したときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。(第57条 航空機には、国土交通省令で定めるところに従い、国籍、登録記号及び所有者の氏名又は名称を表示しなければ、これを航空の用に供してはならない。但し、第十一条第一項ただし書の規定による許可を受けた場合は、この限りでない。)航空法

リモートID機能搭載のドローンを備える必要がある

リモートID機能とは、機体の登録番号を遠隔で識別できる機能のことです。ドローンに内蔵または外付けすることで、機体の情報を発信できます。機体登録制では、このリモートIDも義務となるため注意しましょう。

ちなみに、リモートIDで識別できる情報は以下のとおりです。
• ドローンの製造番号
• 登録番号
• 飛行している位置・高さ・スピードなど

ただし、機体登録制度が施行される2022年6月20日以前に手続きをした機体については、リモートIDの登録は免除されます。

¥43,560 円税込

TEAD TD-RID リモートID(無人航空機登録制度対応 外付け型発信機)

尚、下記のドローンは内蔵型リモートID対応

DJI Mini 3 Pro / DJI Mavic 3 シリーズ
DJI Air 2S / Mavic Air 2
DJI Mini 2 / DJI FPV
Matrice 30 シリーズ / Marice 300 RTK
AGRAS T30 / AGRAS T10

新たに2種類のライセンスが誕生する

ドローンの免許制に伴い、新たに2種類のライセンスが誕生します。一等無人航空機操縦士はレベル4(有人地帯での目視外飛行)まで可能となっています。一方で、二等無人航空機操縦士の飛行可能範囲はレベル1~3までとなっており、レベル4の飛行は新制度の目玉といえるため、免許制の恩恵をフルに受けたいのであれば一等無人航空機操縦士を取得するのがおすすめでしょう。なお、どちらのライセンスも有効期限は3年となっています。期限が近づくと、資格更新のための講習が必要なことは覚えておきましょう。

ドローン国家資格取得の流れ

ここでは、ドローン免許制による国家資格取得の流れについて解説します。国家資格を取るためには、大きくわけて2つのことを実施する必要があります。(※ライセンス講習は必修ではない)

1.国の登録されたスクールでライセンス講習を受ける
2.国家試験を受ける

詳しくは以下で説明していきます。

国の登録されたスクールでライセンス講習を受ける場合

学科・実技の講習を受ける
一等・二等資格ともに、国が認定した登録講習機関(ドローンスクール)でライセンス講習を受講します。学科・実技の講習があり、民間資格を持っている人は一部が免除されるシステムです。

また、このライセンス講習を受けた人は実地試験が免除されます。

現在民間のドローンスクールは約1,400校存在します。その中から講習事務の実地能力にあわせて、3つの区分にわけられます。

1. 一等・二等の講習が可能なスクール
2. 二等のみ講習が可能なスクール
3. 更新の実可能なスクール

国土交通省によると、「既存のドローンスクールが、それぞれの能力に応じた登録講習機関のレベルを選択できるよう、制度を周知するとともに、2022年9月より事前申請に係る審査を進める」とのこと。

ライセンス講習内容

講習の主な内容については以下のとおりです。

• 無人航空機に関する規則

• 無人航空機のシステム

• 無人航空機の操縦者及び運航体制

• 運航上のリスク管理

なお、実技試験については二等がスクエア飛行・八の字飛行を実施するとの情報があります。

国家試験を直接受ける場合

国家試験は国が選定した指定試験期間が実施します。おもな内容は以下のとおりです。
1. 身体検査
o 公的免許証の提出でも可
o 一等の場合は医師の検査が求められる
2. 学科試験
o 形式:3肢択一式(一等70問・二等50問)
o 試験時間:一等75分程度・二等30分程度
o 試験科目:操縦者の行動規範、関連規制、運航安全管理体制、限定に係る知識など
3. 実地試験
o 飛行前準備
o 基本/応用手動操縦
o 自動操縦
o 緊急操作
o 飛行後措置など

先ほども説明したとおり、国の登録を受けたスクールで講習を受けた場合「実地試験」は免除となります。

ドローン免許制による今後の展望

経済産業省は、ドローン免許制によるレベル4の実現し、その先の展望についてのロードマップについて発表しています。おもな内容を以下で見ていきましょう。

UTMS(新交通管理システム)

UTMSとは、高度な通信技術により交通を安全・円滑化する仕組みのことです。すでに公共交通機関などで運用されているシステムですが、レベル4実現にあたりドローンのUTMS整備について段階的に進めていくようです。

UTMSの導入により国が目指すことは以下のとおりです。

• 高度化な運航技術の獲得
• 円滑に多くのドローンが飛行できる体制

将来的に、ドローンがより安全で円滑に飛行できるよう環境が整うことでしょう。

高度150m以上でのLTE利用

レベル4での飛行が解禁されるにあたり、国はLTEの利用制限を高度150m以上に引き上げる案を検討しています。上空におけるドローンの通信確保が目的であり、技術条件や手続きの簡素化を進めていくとのこと。

ちなみにドローンが飛行できる高さについては、2021年の航空法の改正により以下のとおりとなっています。

• 150m以上の高さでの無人飛行は申請が必要
• ただし、構造物から30m以内の空域は高さ150mであっても申請不要
引用:総務省

航空法の改正に加え、新制度でのレベル4解禁となれば、高度150m以上のドローン飛行増加が予想されます。そうなると高度150m以上の通信環境は必須になってくるため、国の環境整備に期待しましょう。

河川でのドローン利用に関するマニュアルを策定

経済産業省の資料では、河川でのドローン利用に関するマニュアル策定を検討しています。実際、ドローンの河川利用については基準が明確ではありません。

「当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれが ある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。」
引用:国土交通省

レベル4解禁に伴い、河川上空においてのドローン利用ニーズが高まります。河川利用のルールを明確にすることで、安心してドローンを使えるようになるでしょう。
資料によると、2023年度中までにマニュアルを策定していくとのことでした。

防災・災害対策

ドローンが防災・災害対策の場面で活躍できるよう勧めていくとの記載があります。
おもに以下の災害場面での活用を目指していくとのこと。

• 上空からの災害状況の把握・情報提供
• 災害現場への機材の運搬
• 消火活動の監視
• 自衛隊の災害派遣活動に活用

本資料では、2024年度をめどに、災害現場におけるより高度な活動支援を行っていくとのことでした。

農林水産業

農業水産の分野においてもドローンの活躍が期待できます。具体的には以下のとおりです。

• 農薬散布面積を拡大する
• 空撮画像解析による野菜の生育診断
• 森林被害の把握
• 水中での魚群自動検索システムの実証

農林水産業のドローン活用についても、2024年度までに拡大を進めるとのことでした。

まとめ

2022年12月5日にドローン免許制がスタートします。このたびの新制度で、ドローン民間資格が得られるメリットは以下のとおりです。

・ライセンス講習の受講時間が短くなる
・優先して講習を受けられる可能性あり
・国家資格の費用が安くなる可能性がある

また、免許を取得するには以下の2つを受ける必要があります。

・国の登録されたスクールでライセンス講習を受ける(※必修ではない)
・国家試験を受ける

初回の国家試験は2023年2月に予定されています。「ドローンの免許を取りたい!」という人は、今のうちから準備しておきましょう!